第85回 【大阪の役者絵 中判へのいざない】

上方浮世絵館では、江戸時代の大阪で出版されていた浮世絵を展示しています。大阪の浮世絵は、道頓堀で上演される芝居を描いた役者絵が多く、当時の歌舞伎舞台を今に見ることができます。

大阪の役者絵は、江戸時代の後半である19世紀がおもな制作時期です。文化文政期(1804−30)から天保期(1830−44)にかけて、大判という判型を主流として隆盛しますが、天保の改革によって途絶えます。その後、弘化期(1844−48)以降再登場する際には中判という判型が主流となりました。

そこで今回の展示では、この大阪の役者絵に特徴的な大きさである中判という判型に注目します。それまでの主流であった大判にくらべ、中判は約半分の大きさとなりますが、異なる魅力が発揮されます。また、広貞や芳瀧ら大阪の浮世絵師は、その画面を最大限に活かしました。大阪独特の中判の世界をどうぞお楽しみください。
第85回 【大阪の役者絵 中判へのいざない】