第78回 【市松文様と芝居にまつわる文様】

上方浮世絵館では、江戸時代の大阪で作られた浮世絵を展示しています。大阪の浮世絵は、歌舞伎役者を描いた役者絵が多く、道頓堀の芝居で活躍した役者たちがいきいきと描かれます。

浮世絵には、歌舞伎の舞台に立つ役者たちの衣装が色彩豊かに表現され、繊細な文様も多色をつかって摺られています。役者たちが好んだ文様は、芝居贔屓の人々にも取り入れられ、浮世絵が流行発信の一役を買いました。

そこで今回の展示では、浮世絵に登場する文様の中でも、市松文様と芝居にまつわる文様に注目します。芝居の衣装の文様や役者が文様に込めた意味や工夫を、浮世絵を通して紹介します。これらは伝統的な文様でありながら、新たなデザインを生み出し、とくに市松文様はオリンピックロゴや人気漫画によって世界へ発信されています。お気に入りの文様をぜひ見つけてみてください。