第36回企画展

芝居の舞台を旅する 浮世絵散歩
2010年6月1日〜8月29日

江戸時代においても、日常をはなれて旅行をすることは、娯楽のひとつでした。乗物のない時代の旅は、おもに徒歩ですすみます。そのため、気軽に出かけられるものではなく、日本各地の名所は浮世絵などによっても楽しまれました。
上方浮世絵は、江戸時代後半から明治初期に、大阪で作られていた浮世絵で、そのほとんどが歌舞伎に出演する役者を描く役者絵によって占められています。そのため、各地の風景を描いた浮世絵は多くありません。
そこで、今回の展示では、物語と縁のある日本各地に注目し、上方浮世絵に描かれた芝居でめぐります。芝居の舞台となった地は、背景をいろどり、登場人物の心情をものがたります。街道を歩く江戸時代の旅を想像しながら、ご覧ください。

芦屋道満大内鑑
よし国 画
文政7年(1824)5月 北堀江
『芦屋道満大内鑑』
沢村 国太郎2 … 葛の葉狐

和 泉
安倍保名に助けられた狐が、保名の許嫁葛の葉姫に化けて結ばれ、一子(後に安倍晴明)をもうける。やがて、本物の葛の葉姫が現れ、その正体がばれると、「恋しくばたづねきてみよ和泉なる信田の森のうらみ葛の葉」の歌をのこして去っていく。