第39回企画展

開館10周年記念企画 上方浮世絵の世界
2011年3月23日〜6月12日

上方浮世絵館は2001年4月28日に開館し、おかげさまでこのたび開館10周年を向えます。浮世絵は日本を代表する文化ではありますが、認知度の低い「上方浮世絵」というジャンルを皆様に知っていただこうと、当館ではさまざまな角度からテーマを企画し、これまで紹介をしてまいりました。
そこで今回の展示では、開館10周年に際し、江戸時代の大阪で制作された歌舞伎役者を描いた浮世絵「上方浮世絵」に関わる絵師や役者など、その世界を概括して紹介します。
上方浮世絵館は、道頓堀という歌舞伎にゆかりの深い場所に立地しています。周辺の散策とともに、ぜひ「上方浮世絵」をご覧ください。

川竹乗込賑
芳雪 画
文久2年(1862)10月 道頓堀
『川竹乗込賑』
中村 千之助 三枡 梅舎 市川 寿美之丞1 嵐 璃寛3 片岡 我当2 片岡 我童2

この浮世絵には江戸時代末期の船乗り込みの様子が描かれています。
船乗り込みとは、歌舞伎役者が顔見世興行の際、ひいきへの挨拶を込めて船で道頓堀から芝居小屋へ入る行事で、現在も当時の様子を復活して行われています。
まるで舞台のように仕立てられた船に、当代人気の役者が裃の正装姿で並ぶ様子は圧巻で、道頓堀の川沿いは、人気の役者を一目見ようと集まった人で埋め尽くされています。
江戸時代の道頓堀南側(現在の道頓堀通り)は「芝居側」と呼ばれ、川沿いには芝居茶屋が並んでいました。絵の上部分左から右奥にかけて並ぶ建物がそれで、奥には太左衛門橋が見えています。芝居茶屋の屋根の上からは、役者達が出演する角の芝居(角座)の櫓も見え、江戸時代の道頓堀が、芝居を中心とした人々を魅了する町であったことが伝わってきます。