上方浮世絵館では、江戸時代の大阪で出版されていた浮世絵を展示しています。北斎や広重に代表される江戸の浮世絵とは異なり、大阪の浮世絵は歌舞伎役者たちを描いた「役者絵」が多いことが特徴です。
近年、大阪の浮世絵師についての研究が進んでいるところではありますが、経歴の不明な絵師が多いのが現状です。また、専業ではなく兼業絵師であったとも言われ、中には数点しか確認されない寡作の絵師もおり、その経歴は謎に包まれています。その謎を解く鍵になるのが、文献史料の存在であるといえるでしょう。
そこで今回の展示では、浮世絵研究の典拠として最も有名な『浮世絵類考』に着目し、記述された浮世絵師について紹介します。展示する浮世絵の存在は、それを描いた絵師の存在を証明しています。大阪の絵師の描く役者の生き生きとした姿を、浮世絵でどうぞご覧ください。