第53回【歌舞伎の妻たち】

上方浮世絵館では、江戸時代の大阪で制作されていた浮世絵を展示しています。大阪の浮世絵は、美人画や風景画も多い江戸の浮世絵とはことなり、役者絵が多いのが特徴です。また、道頓堀は歌舞伎を上演する劇場があつまる地でした。館内の浮世絵は、江戸時代の道頓堀を魅了した役者たちが描かれているといえます。

歌舞伎の魅力の一つに、男性のみですべての役柄を演じるという点があげられます。そのため、歌舞伎には登場する女性を演じる“女方”という演技の形があり、女性の心を表現するために、切磋琢磨がおこなわれてきました。

そこで今回の展示では、女性を演じる“女方”の役のなかでも“妻”に注目します。役者たちは、家族のために苦難に耐え、深い愛情に満ちた“妻”を演じ、人々の心にうったえました。一途な“妻”の心や“母”の心を背負う “女方”たちを、浮世絵からどうぞご覧ください。
第53回【歌舞伎の妻たち】