上方浮世絵館では、江戸時代の大阪で制作された浮世絵を展示しています。大阪の浮世絵は、道頓堀を中心に活躍する歌舞伎の役者たちを描いたものが多く、舞台の様子やはなやかな衣装に彩られています。
木版によって制作される浮世絵は、絵師が描いた下絵を彫師が版木に細やかに写し取り、摺師によって色が重ねられて作られます。版木へ細かな部分まで正確に彫る技術とともに、さまざまな工夫をこらした摺の方法は、あざやかな歌舞伎の舞台を浮世絵の上に蘇らせます。
そこで今回の展示では、浮世絵に施された光沢の工夫に注目します。舞台上できらめく刀剣の表現や光沢によって浮き上がる衣装の文様など、摺によって表現される輝きは正面から見るだけではわかりません。人々が手にとって楽しんだからこそ見える光沢の楽しみを、ぜひご覧ください。