上方浮世絵館では、江戸時代の大阪で制作されていた浮世絵を展示しています。大阪の浮世絵は、道頓堀を中心に上方で上演される歌舞伎に出演する役者たちを描いたものが多く、役者絵がほとんどです。
歌舞伎の舞台では、季節をあらわすために気候や植物などの自然をはじめ、さまざまな背景が用いられます。なかでも樹木は、春の桜や秋の紅葉のように舞台を彩るものから、物語のシーンにかかせない役割を果たす場合もあります。
そこで今回の企画では、樹木の中でも松をテーマに展示を行います。松は常緑であることから長寿や縁起の良い象徴としてとらえられてきました。正月には門松が立てられるなどの吉祥のイメージは、舞台に重厚な趣をいだかせます。また、そのイメージは松をさまざまに展開させていきます。
浮世絵のなかの松をどうぞお楽しみ下さい。