第29回企画展

江戸と上方 浮世絵くらべ
2008年9月2日〜11月30日

上方浮世絵と呼ばれる浮世絵の最大の特徴は、役者絵がほとんどであることです。道頓堀の中座や角座など、今でも名前が残る劇場で行われていた歌舞伎や役者が浮世絵となり、江戸時代の人々に買い求められていました。
江戸の浮世絵にくらべ、大坂で作られていた上方浮世絵は制作数も少なく、北斎のように一般的によく知られた絵師も無いでしょう。しかし、上方浮世絵は大坂町人をはじめとする多くの歌舞伎ファンに支えられ、江戸時代後半から明治初期まで制作されました。
上方浮世絵館では、大坂の浮世絵を紹介する館として、上方浮世絵を中心に展示してきました。今回の展示では、あまり公開していなかった江戸の浮世絵を展示し、江戸と上方の違いを存分にくらべていただけます。どちらがお好みか、ぜひご鑑賞ください。

役者絵くらべ
江戸時代の大坂で上方浮世絵が作られていたころ、大坂の歌舞伎役者は道頓堀だけでなく、さまざまな地域の舞台へ出演するために出かけて行きました。
大坂の人気役者であった中村歌右衛門は、歌舞伎芝居へ出演のため、何度も江戸(東京)へ出かけています。その際には、江戸の浮世絵師によって役者絵が制作されました。
また、江戸(東京)の歌舞伎役者も、道頓堀の芝居へ出演をするために、来坂しました。市川団十郎をはじめとする江戸の人気役者が大坂の浮世絵師によって、描かれています。
江戸と大坂の両方で浮世絵に描かれた役者の、特徴のとらえ方など、東西の違いにご注目ください。

釜淵双級巴

よし国 画
文政5年(1822)9月 中の芝居
『釜淵双級巴』
嵐 吉三郎3 ⋯ 倅五郎市
中村 歌右衛門3 ⋯ 石川五右衛門


鬼一法眼三略巻
豊国 画
文化12年(1815)10月 中村座
『鬼一法眼三略巻』
中村 歌右衛門3 ⋯ 鬼一法玄

三代目中村歌右衛門(1778-1838)
文化文政期(1804-30)の大坂歌舞伎界の名優。上方歌舞伎界だけでなく、江戸にも大きな影響を与え、東西の浮世絵に数多く登場している。容貌には恵まれていなかったと伝えられるが、立役をはじめ、女方・舞踊など幅広い役柄を得意とした。