第83回 【浮世絵でみる豪華絢爛衣裳—打掛—】

上方浮世絵館では、江戸時代の大阪で出版されていた浮世絵を展示しています。大阪の浮世絵は、道頓堀で上演されていた歌舞伎の役者たちを描いた役者絵が多く、当時の芝居の雰囲気を色彩豊かな表現で見ることができます。

なかでもはなやかなのが歌舞伎の衣裳です。役者たちが演じる役柄が、それぞれの扮装によって、遠くの客席からも一目でわかるようになっています。とくに女形の衣裳は、深窓の姫君から粋な芸者まで多岐にわたり、『助六由縁江戸桜』の“揚巻”のような花魁は、衣裳を見るだけで舞台を豪華絢爛な世界へといざないます。

そこで今回の展示では、豪華絢爛な衣裳を代表する【打掛】に注目します。花魁たちが贅を競う【打掛】のほか、武家女性の格式高いものまで、浮世絵にはさまざま描かれます。役者たちが工夫をこらした【打掛】の数々を、上方浮世絵でどうぞご覧ください。