第89回 【王朝物の芝居】 併設:浮世絵展「源氏物語・江戸に降臨」

上方浮世絵館では、江戸時代の大阪で出版されていた浮世絵を展示しています。大阪の浮世絵は歌舞伎役者たちを描いた「役者絵」が多く、当時の舞台の様子がひろがっています。

役者たちが演じる芝居には、背景となる時代や事件をしめす「世界」という概念をもとに、主な登場人物やストーリーが展開していきます。それにより新作された演目であっても、役者は役への準備がしやすく、観客はどのような芝居であるのかがわかりやすくなります。

そこで今回の展示では、『源氏物語』に代表されるような平安時代の「世界」に注目し、朝廷や貴族社会をあつかった芝居を特集します。これらの芝居には、菅原道真をモデルにした『菅原伝授手習鑑』をはじめ、蘇我入鹿や安倍晴明など、飛鳥時代から平安時代の人物たちが登場します。

また、今回は併設して浮世絵展「源氏物語・江戸に降臨」をご覧いただきます。京都浮世絵文化の会の主催で、個人コレクターがお持ちの貴重な源氏絵の数々を展示していただきます。王朝物の芝居の「世界」と合わせて、どうぞお楽しみください。

春好斎 画 『小野道風青柳硯』
初代嵐冠十郎(伴こはむね)
二代目嵐吉三郎(小野道風)


併設:
平安装束を脱ぎ捨て光源氏は江戸時代のスーパースターになった
浮世絵展「源氏物語・江戸に降臨」

ごあいさつ
 
紫式部によって約千年前に書かれた源氏物語は、世界最初の長編恋愛小説として有名です。その影響はあまりに大きく、物語とその解説書に限らず、絵画やパロディーに漫画など、関連する作品は今なお、制作され続けています。

260年間平和が続いた江戸時代に産まれた源氏浮世絵もその一つです。平安貴族の優雅さを残しつつ江戸の風俗で描かれた源氏浮世絵の世界は、源氏物語でありながら、大奥を描いたとも云われ、子女や大奥で絶大な人気を博しました。

今回は、源氏浮世絵の生みの親である三代歌川豊国の作品を中心に展示します。従来の平安装束の源氏絵とは一味違う江戸風源氏絵の世界をお楽しみください。
 
主催:京都浮世絵文化の会 代表 齋藤 彰

第1期:2月27日〜3月24日
第2期:3月26日〜4月28日
第3期:4月30日〜5月26日

展示品解説ツアー
●3月3日(日)15:00〜16;00/源氏物語に即した源氏浮世絵
●4月7日(日)15:00〜16;00/花宴:桜のある源氏浮世絵
●5月12日(日)15:00〜16;00/物語から飛び出した光源氏