第75回 【御殿物と女性たち】

上方浮世絵館では、江戸時代の大阪で制作された浮世絵を展示しています。大阪の浮世絵は、歌舞伎芝居の役者たちを描いたものが多く、道頓堀の芝居小屋を中心に上方で上演された舞台を、浮世絵を通して見ることができます。

歌舞伎の舞台は四季が豊かに表現され、上演も季節に合わせた演目が選ばれます。春の興行とくに三月は、武家に仕える女性たちが休みをもらえる月にあたり、「御殿物」や「助六」のようなはなやかな演目が「弥生狂言」として好まれました。

道頓堀の芝居では、十一月の顔見世興行の後は、「二の替り」と呼ばれる正月興行に続き、「三の替り」と呼ばれる春の興行がおこなわれていました。

そこで今回の展示では「御殿物」をとりあげます。「伽羅先代萩」などの武家を支える女性たちの活躍する芝居や、浮世絵に描かれる姿や役柄に注目します。芝居の春を、どうぞお楽しみください。第75回企画展【御殿物と女性たち】