第66回 【役者と俳名】

第66回 【役者と俳名】
上方浮世絵館では、江戸時代の大阪で制作されていた浮世絵を展示しています。大阪でつくられた浮世絵は役者絵が多く、道頓堀を中心とした舞台で活躍する歌舞伎の役者たちの姿が描かれています。

役者たちはそれぞれ芸名のほかに、“屋号”という歌舞伎独特の名前を持ちます。歌舞伎役者たちは江戸時代には苗字が許されていなかったため、かわりに屋号を持ったといわれ、舞台上の役者へ観客が声をかける際には“屋号”がおもに使われます。

また、歌舞伎役者たちが教養を深め、贔屓との交流を持つために俳諧をたしなんだことから“俳名”を持つこともありました。“俳名”も代々受け継がれ、芸名として襲名される名跡となった場合もあります。

今回の展示では、役者たちの“俳名”に注目します。浮世絵に描かれた役者とともに、その姿に添えられた“賛”もぜひご覧ください。