第69回 【浮世絵の光と影】

上方浮世絵館では、江戸時代の大阪で作られていた浮世絵を展示しています。大阪の浮世絵は、歌舞伎役者を描いた役者絵が多く、色あざやかな浮世絵からは当時の舞台をうかがう事ができます。

浮世絵は19世紀のヨーロッパへ影響を与えたことはよく知られていますが、特に浮世絵の平面的な表現はそれまでの絵画の常識を覆したといわれます。そのような表現のなか、役者絵において舞台に颯爽と立つ役者を描くために、「光」と「影」でさえも簡潔な線で描かれます。

そこで、今回の展示では舞台をいろどる「光」と「影」に注目します。人の足もとに必ずある影を描写しない浮世絵において、どのように明暗を表現しているのかにスポットをあてます。真夜中でも明るい現代では見えない「光」と「影」を、どうぞご覧ください。
浮世絵の光と影